センチネルリンパ節生検

センチネルリンパ節生検とは

口腔がんは周囲の組織に入り込む(浸潤)する能力だけでなく、リンパ管や血管には入り、首のリンパ節や遠くの臓器に転移の能力を持ちます。

以前は、リンパ節は網の目のようになっているから首のどこのリンパ節に転移するかわからない、と考えられていました。そのため、首のリンパ節を大きく周囲の筋肉や血管などの組織と一緒にとって(頸部郭清)、とったうち何個に転移しているかなどという検査が行われていたわけです。

しかし最近になり、原発巣(がんが最初に発生した場所)から、がん細胞がリンパ液に乗り、最初に流れ着くリンパ節は1~数個に限られることがわかってきました(センチネルリンパ節;見張りリンパ節)。

そこで、そのリンパ節を特定し、そのリンパ節だけをまず、とってきて調べ、もしも転移がなければそれから先のリンパ節には転移していないと考えることができます。そのような場合、見張りのそれならリンパ節郭清は必要ありません。
これがセンチネルリンパ節生検の考え方です。センチネルとは「見張り」や「前哨」の意味です。

センチネルリンパ節生検の方法

センチネルリンパ節生検は、通常口腔がんの手術と同時に行われます。 まずラジオアイソトープという放射性医薬品と、青色の色素をがんの近くに注射します。この2つが道案内約です。これをガンマプロープという一種の金属探知機のような器具で追跡します。

センチネルリンパ節の場所が確認できたら、その真上の皮膚を2から3cm切開し、放射線と色素で同定されたセンチネルリンパ節を切除して取り出します。そしてその場で、顕微鏡による検査します。もしそのリンパ節に転移がなければ、そのまま傷口を縫合して終わりです、もし転移があった場合は、通常の頸部リンパ節郭清を行います。

センチネルリンパ節生検が見つからない場合

不要なリンパ節郭清を減らすセンチネルリンパ節生検にもいくつか問題があります。 まれに、センチネルリンパ節が見つからないことや、センチネルリンパ節生検で下された診断が100%正しいとはいえないことがあげられます。

少数とはいえ、陰性――センチネルリンパ節には転移がないと診断されたのに、数ヶ月~数年後に頸部が腫れてくる人が必ずいるということです。おそらく、この時点でリンパ節郭清を行った場合でも生存率などに違いはないと考えられますが、この結論は、現在、欧米で行われている大規模臨床試験の結果待ちの状態です。

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