頸部郭清術

頸部(けいぶ)リンパ節

頸部リンパ節は、胸鎖乳突筋を中心にして、その内側あごの骨の下がレベルⅠ、首の上方がレベルⅡ、首の中央がレベルⅢ、首の下方がレベルⅣ、首の後ろ、鎖骨周囲がレベルⅤ、首の前下方がレベルⅥに分類されます。

以前、頸部のリンパ節をすべて郭清する場合、いわゆる頸部郭清術では内頸静脈、胸鎖乳突筋、副神経をすべて合併切除する根治的頸部郭清術といわれる術式が行われてきました。しかし、術後の機能障害を少しでも少なくするために、根治的頸部郭清術の根治性を損なうことなく、血管や神経、筋肉をできるだけ残す、より低侵襲の手術術式が検討され、保存的頸部郭清術が行われるようになりました。

さらに、口腔がんにおいてはレベルⅠ〜Ⅲの転移頻度が多いことから肩甲舌骨筋上頸部郭清術のような選択的(部分的)頸部郭清術が行われるようになっています。

現在の頸部リンパ節郭清に関する考え方

現在は、口腔がんの頸部リンパ節転移を認めない症例に対する予防的頸部郭清術については、肩甲舌骨筋上頸部郭清術を選択した場合には機能障害が少なく、病期の決定が可能で術後の治療方針の決定に有用であるという理由から、これを推奨する意見があります。

しかし、一方で予防的頸部郭清を行った場合と後発リンパ節転移に対して救済治療を行った場合で治療成績に差がないことから、厳重な経過観察を行い転移が明らかになった時点で頸部郭清術を行う方がよいという意見もあり、統一した意見がない現状です。

センチネルリンパ節生検の応用や、手術後の経過観察の内容にも大きく左右される問題でもあります。以下に患者さんに優しい治療を行うかが重要な問題になると思います。

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